そういえば、欧米の手工具で結構大事なものを忘れていた。これはおそらく、日本にはないと思うのだが、キャビネットスクレーパー(cabinet scraper)である。もし我が国にも同じような道具があったらご勘弁を。 &br;&br; 道具といっても実に単純、ただの鋼の板である。 |&ref(IMG_0388.jpg,[[photos1]]);| |鋼の板| &br; この道具は、西洋カンナがよいか、キャビネットスクレーパーがよいか、などという議論に登場してくる。ただ、僕の場合はすごく単純な使い方をしている。 &br;&br; キャビネットスクレーパーの手入れはあまりしていなかった。ちょうどよい機会である。やってみよう。 |&ref(scraper.jpg,[[photos1]]);| |図1 スクレーパーの横断面| &br; スクレーパーを使えるようにするためには、上の図のように段階を踏む必要がある。最初の段階は、金ヤスリと砥石で行う。まず、目の細かい金ヤスリで側面の二面と |&ref(IMG_0389.jpg,[[photos1]]);| |側面| &br; 上面を平らにする。 |&ref(IMG_0390.jpg,[[photos1]]);| |上面| &br; これが終わったら、砥石で上面を更に平らにする。下の写真は、もともとついていたカッティング用の返り(cutting burr)が、最初は砥石の左側に、そして研ぎを入れている間に、次第に右の方に進む様子を表している。これは後でわかると思う。 |&ref(IMG_0391.jpg,[[photos1]]);| |砥石で研ぐ| &br; 下の写真は、バニシャー(burnisher)という専用の道具である。これは、鋼であるキャビネットスクレーパーよりも更に硬い。 |&ref(IMG_0393.jpg,[[photos1]]);| |バニシャー| &br; この道具を用いて、cutting burr、つまり返りを付けていく。両手でburnisherを持ち、わずかに角度をつけながら(3度らしい)、十数回、体重をかけて端から端まで移動させる。これで、図1の真ん中の形になる。左右を返して、この作業をくりかえすと、図1の右の形になる。 |&ref(IMG_0394.jpg,[[photos1]]);| |返りを付ける| &br; さて、使ってみよう。使い方は簡単である。両手で持ち、親指を押し出すようにしてスクレーパーを湾曲させる。前方に少しだけ傾けて、「返り」(cutting burr)で板を削り出すのである。 |&ref(IMG_0398.jpg,[[photos1]]);| |実際に使う| &br; 板をはいだときは、わずかだが板と板に段差ができていることがある。このようなときに、キャビネットスクレーパーを使うことにしている。実にスムースな削りである。かんなでは、段差に順目と逆目がたまたま来ることがあるのだが、スクレーパーで削るとそのようなことを気にしなくてよいから実に楽なのだ。 |&ref(IMG_0399.jpg,[[photos1]]);| |段差があるとき楽| &br; 写真は、スクレーパーにも種類があるということだが、フラットなもの以外はあまり使ったことがない。 |&ref(IMG_0392.jpg,[[photos1]]);| |スクレーパーの種類| ---- [[トップへ>Arbortalk]]